たぶせ在宅クリニック 和歌山市の訪問診療

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院長コラムhead doctor’s blog

開業以来初の・・・23.7.22

在宅医療

今日のお話しはクリニック開業以来初めての患者さんです。

70代の男性で、奥様とは既に死別されていました。仕事も引退しセカンドライフを送っていたのですが、自宅で転倒を繰り返すようになり検査も受けたのですが原因不明で、ついには自宅でほとんど動けなくなってしまいました。

当然近所のクリニックにも通院出来なくなり、そのクリニックの先生は往診をされていないので、私に依頼がきました。

初回訪問でじっくりと経緯を確認し、まずは命に直結する病状ではないと分かりました。しかし、ベッド上生活になったことによる自由に動けない辛さから生きる希望を完全に失っていて、生きる覇気が全く感じられない状況でした。父親の病状に不安しかない子供さんと一緒に面談する中で、ご本人は原因が知りたいというお気持ちがあることが判明したので病院を紹介し、外来受診し後日入院されました。

入院してもすぐには原因が分からず、入院生活のストレスで「今すぐ退院させて欲しい」と言い続けていると病院の主治医の先生から連絡を受け、すぐに病院に面会に行き、子供さんと一緒にご本人を説得してなんとか入院継続となりました。

その後に原因が判明し、その治療に1か月以上掛かりましたが、ご本人は入院生活にも耐えられて元気になって退院されました。

自宅でもリハビリを熱心に取り組まれ、子供さんの付き添いがあれば外出が出来るまでに回復されました。そして以前のクリニックにも通院が可能となったので、晴れて私の訪問診療は卒業となりました。

クリニック開業以来、病気が完治して卒業されたのはこの方が初めてです。普段の訪問診療とは真逆のケースでしたが、最後の訪問時にご本人から感謝の言葉を頂戴した時には、病院勤務医時代を久しぶりに思い出しました。

在宅医には様々な役割があることを改めて実感したケースです。