院長コラムhead doctor’s blog
聴くこと19.9.9
まだまだ残暑が続きますね。
対策を講じたので、今年は夏バテせずに乗り切れそうです。
皆さまはいかがでしょうか?
さて、訪問診療での「聴く」について書いてみたいと思います。
病院時代の外来では、混んでいる時は十分な診察時間をかけることが出来ませんでした。
その反省から今は出来るだけ一人一人に時間を確保するように様々な工夫しています。
現在は、どんなに短くても一人10分、長い人は30分以上でも対応出来るようになりました。
がん/非がんを問わず、あらゆる悩み・苦痛・症状を訴える本人/家族さんに、まずは「聴く」ことを大事にしています。
「まだ死にたくない」「家族に迷惑を掛けたくない」「食べれない」「寝れない」「痛い」・・・本当に種々の訴えがあります。
なぜ様々な訴えが出るのか、その言葉の奥には原因として何が潜んでいるのか、常に考えながら聴いています。
「食べれない」→点滴やステロイド、「寝れない」→眠剤処方、「痛い」→鎮痛剤処方、だけでは解決出来ません。
訴えをキチンと聴けない医師・看護師ほど、すぐに薬物治療になるような気がします。
クルマを降りた瞬間から、「聴く」ための準備は始まっています。
- 駐車スペース→玄関先→玄関→室内に、いつもと変わった点はないか?
- 玄関を上がる時の挨拶に対する返事は、いつもと同じか違うか?
- 室内に入った瞬間の本人と家族の表情・体の位置を見て、いつもと変わった点はないか?
- 開口一番の口調や何を話すのか?話しながらの表情や視線、姿勢、症状に変化はないか?
などなど
もちろんキチンと「聴けば」なんでも解決出来るわけではありません。
答え/解決法のない訴えも数多くあります。
しかし「聴く」だけで軽減できる不安や苦痛もあります。
今現在、本人と家族の訴えに対して、難渋しているケースがあります。
原因は複数あり、どうにもならない原因もあります。
いくら聴いても聴いても、薬物を変更しても、びくともしない苦痛です。
自分の力不足を痛感しますが、このようなケースでも最低限出来ることは、逃げずに「聴き」続けることだと考えています。
「聴く」ことは、時間だけでなくパワーと忍耐も必要です。
病院時代より在宅医になってからやや気が長くなったのは、年のせいだけではないと思います・・・きっと^^。
ちなみに「聞く」ではなく「聴く」です。
先日参加した講演会です。
坂口先生の講演会は2回目ですが、流石ベテランの本音トークが全開でした。
当たり前ですが、私はまだまだ足元にも及びませんね・・・。