院長コラムhead doctor’s blog
アフターフォロー②25.4.4
1年数カ月前に80代後半の女性を老衰で最期まで担当させて頂きました。
年上のご主人や娘さんと同居されている方でした。
ご主人とは挨拶は交わしていましたが、ご主人の主治医は私ではなくご近所のクリニック先生でした。
ご本人をお看取り後は、ご主人やご家族と連絡を取る事はなく月日が過ぎていました。
とある平日の夜、突然娘さんから電話が鳴りました。
かなり慌てた声で、「父が急変しています。間違えて(田伏)先生に掛けてしまいました、すいません。」
娘さんを落ち着かせながら状況を確認するとすぐに対応しないといけない状態でした。
かかりつけのクリニック先生は夜間の往診をされていないのは知っていたので、私は「すぐに往診します」と伝えて急行しました。
自宅では救急隊も既に活動していて、救急隊のリーダーさんは私の到着を待ってくれていました。
本人の状態を確認し、家族さんから当日のご本人の様子を、リーダーさんから現場での活動内容を確認し、その場で医師として行うべき対応をさせて頂きました。
普段担当していない方に対して本来は緊急対応の義務はないのですが、今回は知っている方でしたし、状況が状況だったので往診させて頂きました。
かかりつけのクリニック先生の許可なしに(勝手に)往診したこともあり、翌日電話で経緯と往診したことをご報告しましたが、クリニック先生からは暖かいお言葉を頂戴しました。
思わぬ形でご主人や娘さんと再会することとなりましたが、これも奥様を担当したご縁です。
「この方への往診は義務ではない」を理由に断わるのではなく、私1人が動くことでご本人・ご家族・救急隊・クリニック先生など多くの皆様のお役に立てたのなら、それも私の役割ということです。
もちろんこんな単独行動は、私が全責任を負う個人事業主だから可能なのであって、所属する組織が大きければ大きい程不可能だと承知しています。
このようなアフターフォローは初めてでしたが、兎にも角にも皆様のお役に立てて嬉しかったです。
「声聞縁覚は智慧狭劣なり」
弘法大師のお言葉です。