院長コラムhead doctor’s blog
在宅看取り率が100%って22.3.20
徐々に春が近づいていますね。
我々以上に高齢の患者さん達に厳しい冬が終わります。
今冬も高齢者のお看取りが多かったです。
私のクリニックは在宅医療専門ですが、在宅看取りが最終目的ではありません。
様々な理由で病院で最期を迎える方や、特養へ入所で私の担当が終了する患者さんがおられます。
あくまでも患者さん/家族さんが自宅で過ごしたいというをサポートするのが目的で、その結果自宅でお看取りまで担当するケースも多いです。
以前東京の在宅クリニックで修行をしていた時、そこのクリニックは在宅看取り率100%でした。
実際勤務してみると、ほとんどの方は自宅看取りを希望して紹介されてくるのですが、中には途中で方針を変えたいというケースもありました。
その時は「君の今日の訪問で、本人/家族を説得するように」とクリニック幹部から強く指導されていました。
私が説得に失敗すると次は院長が訪問して、その結果は全ケースが在宅医療継続となっていました。
それが在宅看取り率100%のからくりでした。
その数字に不自然な印象しか感じられなかったので、学会や勉強会で全国の在宅医に聞くと、皆さん口を揃えて70~85%が妥当な数字と答えておられました。
在宅医療を断念する理由は様々です。
- 病状悪化で症状緩和が不十分な時
- 本人が家族に気を遣って
- 家族の介護負担が限界
- 経済的理由etc
私のクリニックの在宅看取り率は、がん患者さんも非がん患者さんも80%です。
開業以来ずっと75~80%で推移しています。
私は東京時代の経験を踏まえて、入院を認めないという事は絶対にしません。
私に直接言いにくい患者さん/家族さんもおられますから、訪看さんやケアマネージャーさんとも連絡を密にしています。
入院先の病院も、ご本人/家族さんと一緒に相談して決めることがほとんどです。
在宅医療は誰のための医療でしょうか?
決して在宅医/在宅クリニックのための医療ではありません。
青臭いですが、あくまでも患者さん/家族さんのための医療であるべきというのが私の信念です。
普段から心掛けているのは、
- 極力シンプルな在宅医療
- 訪看さん、ケアマネさん、その他のスタッフの意見を、聴いて尊重して任す
- 24時間365日の対応
たったこれだけです。
その実現のために自己犠牲にしているものは少なくありません。
この道をストイックに追求していますが、私の仕事によって一番救われているのは、もしかしたら私自身なのかもしれませんね。