たぶせ在宅クリニック 和歌山市の訪問診療

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院長コラムhead doctor’s blog

人生の最終時期での酸素投与について20.3.8

在宅医療

新型肺炎の影響はまだまだ収まりませんね。

いつもの飲食店に行ってもお客さんが明らかに減ってます。

本当に早く終息してほしいですね。

先月、がん患者さんのお看取りが通算100人を超え、全てのデータを見直していました。

その中で在宅酸素の使用率は102人中34人で、ちょうど1/3でした。

他の在宅クリニックのデータがないのですが、1/3という数字は恐らく少ない方だと思います。

私は勤務医時代からずっと疑問に思っていたことがありました。

それは亡くなる前の入院中患者さんにはほぼ100%酸素投与をしていましたが、

本当に酸素投与で苦痛が緩和されているのかということです。

投与量の最大量は15Lでしたが、物凄い勢いで流れているのを、人間は本当に吸えるのか?

吸いきれない酸素はマスクの横からダダ漏れです・・・。

ただ勤務医の時は、疑問に思いながらも慣例に従っていました。

在宅医になってから、時間を掛けて患者/家族さんと向き合うようになりました。

もちろん必要な人には酸素投与を行い、その結果が1/3という数字です。

私の酸素投与の基準は、よくある「SpO2(酸素濃度) 95%以下」ではありません。

たとえSpO2 90%以下でも、本人に呼吸苦があるのかどうか、又は本人/家族が酸素投与を希望しているかどうかです。

従って訪問看護師さんから、「SpO2が下がってますから酸素投与を」と言われたら、「本人や家族は苦しそうなのか?」と必ず確認します。

苦しそうかどうかは主観的な領域でもあるので、評価が難しいと思う人もいるかもしれませんが、

しっかりと患者/家族さんと向き合っている訪問看護師さんなら評価は十分可能です。

このような時期に入れば、酸素投与よりももっと大事なケアは沢山あります。

  • 医療用麻薬で呼吸苦の軽減を目指すこと
  • 訪問看護師さんが提供する様々なケア
  • 本人/家族さんの不安を解消するための説明

中等度までの呼吸苦であれば、上記の3つをしっかりと行うことで、症状緩和が得られる可能性があります。

逆に言えば、この3つが提供されていないといくら酸素投与だけしていても・・・。

今日の内容は酸素業者の方が見ると嫌われる内容ですね。

酸素業者の方、ご免なさい。