院長コラムhead doctor’s blog
心肺停止時の救急対応-東京都の取り組み-20.3.22
コロナ騒動はまだ鎮まる気配はないですね。
ヒトの感染症との戦いは有史以来ずっとです。
今回も乗り越えられるハズですので、それまでに死亡しないように対策を怠らないようにしたいですね。
さて、今年の私が取り組みべきテーマの1つに、在宅での救急問題があります。
ご本人が急変した場合(特に心肺停止時)、家族や周囲の人が慌ててしまって119番で救急隊を呼ぶ場合です。
特に老衰やがんの末期の場合、心肺停止となってからの心配蘇生やERでの高度救急医療を受けても、助かる可能性はほぼ皆無です。
それどころか、普段診てもらっていない病院へ搬送されると、担当した救急医は病死かどうか判断出来ないため、警察による検死になります。
検死の流れは、ERから所轄に連絡➡警察官が病院へ到着➡医師と家族に状況聴取➡本人の検死➡警察が事件性なしと判断するとER医師による死亡診断書作成となります。
私も大学病院の救急部にいた頃に何度なく老衰やがん末期の方の検死に遭遇しました。
かなり時間も掛かりますので自宅に帰る頃には、ご本人は冷たく硬くなっています。
時間だけではなく多くの人(消防局指令、救急隊、ER病院の医師/看護師/技師/事務員、警察etc)も関与しています。
何故、こんな事が起こってしまうのでしょうか?
3つの大きな理由があります。
①家族や介護者が動転してしまい慌てて119番をしてしまうケース
②高齢者施設等に入所していて and その施設が看取りをしていない場合、119番で病院搬送するケース
③在宅医やかかりつけ医がいるのに、急変時に連絡が取れない or 連絡が取れても119番をしてと言うケース
私のクリニックでは、①がないように私と訪問看護師さんの両者から家族さんへ繰り返し説明をします。
ただ家族さんの理解を得るには、私と訪看さんが共に24時間いつでも対応可能という保証が必須です。
報道でご存知の方もおられるかもしれませんが、この問題に対して東京都では新たな取り組みがはじまりました。
●東京消防庁 心肺蘇生を望まない傷病者への対応について
市民向け https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kyuu-adv/data/0_acp.pdf
医療関係者向け https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kyuu-adv/data/acp.pdf
画期的な取り組みであり、これと同じような取り組みが県内では那賀地域にあるようですが、和歌山市にはありません。
昨年11月のサポートセンター勉強会(連絡協議会)で、このテーマを取り上げました。
そしてその時に参加されていた和歌山市消防局の幹部職員と我々が繋がりましたので、和歌山市消防局と和歌山市医師会在宅医療サポートセンターの話し合いが近いうちにスタートします。
私もサポートセンターの運営メンバーの1人として話し合いに参加しますので、参加者の皆様とこの問題を前に進める議論したいと思います。
在宅医療における重要なテーマの1つが実現に向けて動き出します。
機会があれば、進捗状況をご報告させて頂きますね。