たぶせ在宅クリニック 和歌山市の訪問診療

  • 〒640-8264 和歌山市湊桶屋町10 M&MビルA号室
  • TEL073-424-0207
  • FAX073-424-0300
メニュー

院長コラムhead doctor’s blog

アドバンス・ケア・プランニング18.4.10

日々の診療

皆さん、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)ってご存知ですか?

近年、医療だけでなく介護や福祉の世界でも盛んに言われている言葉です。

定義は、「将来の医療及びケアについて、患者さんを主体に、そのご家族や近しい人、

医療・ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、患者さんの意思決定を支援するプロセス」です。

ごく簡単に言うと、ご本人の今後について関係者全員で相談して決めましょうということです。

在宅でACPを行うのは結構大変です。

まず参加する関係者の日程調整を行い、事前にある程度相談内容を整理します。

問題点に対する解決法の探索とそれに対する本人/家族のそれぞれの希望も確認します。

関係者が多いと当然様々な意見/希望が出ますし、すぐには結論がまとまらないこともあります。

勤務医の頃は、病状と治療の事を説明すれば良かったですが、

在宅では、どういう生活をしていて本人/家族の希望を伺い、それを叶えるにはどうしたらいいか、

このまま在宅で過ごせるのか、入院が必要なのか、施設入所が必要なのかについて、

医師は医療、看護師は看護、ケアマネは介護の立場から意見を出し、社会的/経済的な面も考慮しながら、

1つの方向性を出そうとします。

そして上手くいかなければACPを繰り返し行います。

先日、90代の心不全の患者さんでACPをしました。

自宅で過ごせるように心不全症状に対して様々な策を講じましたが、症状がひどくなってしまいました。

それでもご本人は自宅生活に強い拘りがあったので、数日様子をみましたが、ついに白旗を上げました。

往診ですぐに伺い、ご本人が入院することに同意されたため、入院先の病院を手配した上で救急車を呼びました。

ご本人の奥様は室内歩行がゆっくりなら出来る方でしたが、救急車を見送る時はご自分で玄関先に出て

壁につかまって見えなくなるまで救急車を見送っておられました。

夫婦の絆を拝見して、ご本人が苦しくても自宅生活に拘った理由の1つだったと私は理解しました。

数日後に病院に見舞いに行くと、必死に治療されていましたが、私に笑顔で話して下さいました。

Y様、退院をお待ちしています。

患者さんとそのご家族
DSC_0091

左から、担当ケアマネ・長男さん・ご本人の奥様・次男さん・長男の奥様・ご本人・在宅医・担当訪看ナースです。

参考資料

http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20180307_31.pdf